粉砂糖の日

どこにでもいるような女

低空飛行

今日は飛行機が低い空を飛んでいた。

上り坂を、自転車をおしながら空をみる。私のは電動自転車ではない上に私にも脚力がないから漕ぎきれない坂道が多い。

飛行機はいつもは見えないお腹の細部まで見えて、ゴォーと音を立ててあっという間に遠くへ行ってしまった。今日は風があって晴れているのに涼しい。飛行機を遠くに行くのを見送った後、少し周りの空気や緑にいつもより目が敏感になった。夏のような猛威を奮うような圧倒的な緑ではなく、涼しくなるにつれてそよそよと優しく揺れる木々の方が私は好きだ。むわっとしない空気もいい匂いがして、セミもいなくなったから音も静かで、私は心地よくなった。これが自分に馴染む季節だ。

それと同時に少し死にたくなった。実際死なないし、なんでかはわからないけど、死ぬならこんな季節のこんな天気の日がいいと思った。

心地よさと不穏さが同時に心にくると、変な気持ちになる。心が一気にざわざわして、かと思えば幸福感に満たされて、を体に交互に高速で駆け巡る。

もう、いっそ大雨でも降ってくれないか。